B

行き着く先なんてない、だってこれは帰り道
ひとりで死ぬんだね
「愛して」/まるで砂漠の真ん中で水を欲しがるみたいに
与えられすぎて溢れた

今しがた失ったところです
それでも、息を
夢のはじっこ
余韻がいつしか本物に
それは水に似ていたんだ
途方に暮れていた光
返してほしくば目を閉じろ

声を呑まれて正気に返る
呼吸をするだけの凹凸
眠らない彼の目覚めない夜明け
ほんきの嘘
やりなおしの効く日常
一人よがりの自信家
家路を失くす
正直者の常套句
航空機が舞った空は銀白色
殺しても喋り続けた彼女の恋
デッドエンド
つまさきの速度
笑えストレンジャー
やがて死体は夢を見る
世界を救えなかったロックスターは愛されて死にました

昨日が今日に変わる間の小さな隙間に僕の骨を埋めてよ
月がぐるりと回って一周するあいだ太陽はぐるりと回ってなかったら
君が君らしくあったとして、僕は僕らしくはなれないので
二度も三度も焼いたけれど彼女の陶器のカップは割れてしまった
髪をかきあげるみたいにしてこの気持ちをすくいあげて
ぐしゃりと握りつぶされて幻は永遠になった
始まりの覚悟

愛は一人ぼっちで生まれるけど、それは世界を救うことだって出来るんだぜ
63億分の1にカウントされなかったあなたに

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(いきたあと/ころすりゆう)
いなくなって初めて出会う
きたなかったぼくら
ためしに消えてみよう
あと10秒の時間があればいい
とうとつに訪れたそれは

こどもみたいなのね、と笑う声に
ロマンチックな憎しみが膨らんで
すいかが一つしかなかったの
りんごの匂いにつられて
ゆれたって元に戻るんだから
うまく言えないからどうかわかって

(夏)
日毎勢力を増し
孤独すらとける
君のうつ雨
アイスが溶けるより先に消えてしまうよ
掻き消えそうな声を
落雷で君を知る
空が割れ日差しが僕を焼き殺す
自転車×サンダル=きみんちまで

罵るついでに唄ってやりました
睨むついでに泣いてやりました
憚るついでに抱いてやりました
殴るついでに撫でてやりました
憎むついでに愛してやりました